論文概要
2025~2029年
- Yoshida, M. (2025) Habitable Planet
- 無限のプラントル数を持つ二層レイリー・ベナール対流に関するこれまでのシミュレーション研究では、二層間の粘性率比が増加するにつれて、二層間の結合モードが力学カップリングから熱的カップリングに向かうまでの遷移モードへと変化することが示された。本研究では粘性率比が104の二層対流の超高解像度数値シミュレーションを実施した。内側の低粘度層における対流の有効レイリー数は約2×1010となった。対流の時空間解析により、下降流が主体となる新たな熱カップリングモードが確認された。地球のマントルと外核の結合に適用した場合、この結合モードは地球のコアを効果的に冷却し、内部から地表へ熱を放出する。
- Yoshida, M. (2025) Gondwana Res.
- 超大陸サイクルを考慮したマントル対流の理論モデルを用いて超大陸サイクルが地表面熱流量の億年スケールの時間変化に及ぼす影響を調べた。その結果、超大陸パンゲアが形成されていた2億年前の地表面熱流量と比較して、過去2億年間に地表面熱流量が-10%~+25%の間で変動したことが推定された。一方、地球の熱収支に関するパラメータ化対流理論によると、マントル内の放射性元素の崩壊に伴う地球の永年冷却により、地表面熱流量は同じ2億年間に約15%減少することが推定された。これらの結果は、超大陸サイクルが地表面熱流量に及ぼす影響は、地球の永年冷却と同程度かそれ以上に大きいことを示唆している。
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