論文概要

査読付き論文の概要(200字程度)

Yoshida, M. and Hamano, Y. (2016) Phys. Fluids
粘性率が異なる二層を持つ高解像度のプラントル数無限大・二次元球殻モデルを開発し、熱対流の数値シミュレーションを行った。球殻外側の高粘性率層(HVL)と球殻内側の低粘性率層(LVL)の粘性率比は最大10^3とした。その結果、粘性率比が大きくなると、LVLの対流速度はその有効レイリー数の増加にしたがって増加するが、HVLのヌッセルト数と対流速度は一定値に漸近することが分かった。つまり、HVLの対流が二層対流系の熱輸送効率を規定していることになる。
Yoshida, M. (2016) Geology
マントル対流の数値シミュレーションによって、現在から約2億5000万年後までの大陸の分布とマントル対流の時間変化を調べた。その結果、2億5000万年後までには、北半球に現在のユーラシア、アフリカ、オーストラリア、北アメリカ大陸を中心とする超大陸が形成されることが明らかになった。また、日本列島は、北半球に留まるユーラシア大陸と南半球から高速で北進するオーストラリア大陸の間に挟まれ、新しい超大陸の一部となることも予測された。
吉田 晶樹 (2015) 地質学雑誌 (J. Geol. Soc. Japan)
実際のプレートは有限の粘性率を持つため、完全な剛体運動ではなく、内部変形をしながら運動しているはずである。最近のマントル対流の数値シミュレーション結果や大規模地下構造探査による地震学的証拠から、プレート直下のマントルの流れが生み出すマントル曳力もプレート運動や大陸移動の主要な原動力となり得ることが明らかになってきた。その場合、それらの原動力として、スラブ引っ張り力とマントル曳力のどちらが大きいのかという新たな難題が生まれる。
Adam, C. et al. (2015) Earth Planet. Sci. Lett.
マントルダイナミクスと海洋リソスフェアの成長(年代による沈降)の関係を調べた。地球上の海洋底の成長に関係するパラメーターに基づく統計的解析の結果、リソスフェアの有効熱伝導率の大きさにかかわらず、沈降速度と海嶺からの高さのみで海洋底の地形のパターンを説明することができた。さらに、地震波トモグラフィーモデルに基づく全マントルでの対流シミュレーションモデルでダイナミックトポグラフィーを解析した結果、実際の海底地形の高さをよく再現することがわかり、マントルの対流運動と海洋リソスフェアの成長は密接な関係があると結論した。
Yoshida, M. and Hamano, Y. (2015) Sci. Rep.
三次元球殻内マントル対流の数値シミュレーションを実施し、2億年前から現在までの大陸移動の様子を調べた。その結果、大陸と海洋マントルとの粘性率比が10^3の場合に、実際の地球の時間スケールで、大西洋の拡大やインド亜大陸の高速北進とユーラシア大陸への衝突などのイベントが再現され、現在の地球に近い大陸配置が再現された。特に、パンゲアの分裂は超大陸の熱遮蔽効果によるパンゲア直下のマントルの高温異常が大きく寄与することが分かった。
Tajima, F. and Yoshida, M. (2015) Geosci. Front.
P波の地震波形の新しい解析により分かった660 km不連続面の深さの変化と低速度地震波異常から、660 km相境界付近で沈み込みスラブが脱水し、高圧実験の結果から遷移層でのスラブの脱水は非常に局所的であるという仮説を提唱した。次に、沈み込みスラブにより水が遷移層まで輸送されていると仮定した三次元のプレート沈み込み数値シミュレーションを行い、海洋地殻が遷移層底部で一時的、長くても1000万年の時間スケールで滞留しうることが分かった。
Yoshida, M. (2014) J. Geodyn.
ホットスポットの分布とマントル深部の「大規模低地震波速度領域」(LLSVP)の地理的関係がアフリカ大陸周辺と南太平洋周辺で異なることを最新の地球科学的研究に基づいて議論した。その結果、アフリカ大陸周辺のホットスポットの分布がLLSVPの縁に集中しているのは、マントル遷移層底部に滞留している放射性熱源を持つ大陸地殻にホットスポットプルームの起源があるためで、最上部下部マントルに低粘性層がある場合、そのようなプルームがより発生しやすいと結論した。
Yoshida, M. (2014) Geophys. Res. Lett.
2億年前の超大陸パンゲアを考慮した三次元全球殻内のマントル対流シミュレーションを行った。海洋リソスフェアの破壊強度(降伏応力)とマントルの加熱モード(コアからの加熱の有無)に関して系統的なシミュレーションを行った結果、CMBからの積極的なマントル上昇流がなくてもパンゲアの分裂とその後の大陸移動が起こることが分かった。さらに、本モデルでは、加熱モードの違いに限らず、非常に限られた降伏応力の値のもとで自発的な大陸分裂が起こることが分かった。
Adam, C. et al. (2014) Phys. Earth Planet. Int.
従来のモデル(Adam et al., 2010)の領域を全マントルに拡張し、上部・下部マントルそれぞれの密度異常、及びマントルの粘性率構造が南太平洋上の大規模地形やジオイド異常の振幅やパターンに及ぼす影響について系統的なパラメータ・スタディで調べた。その結果、南太平洋スーパースウェルの起源は下部マントルの密度異常に起源を持つマントルの高速の上昇流によるもので、特に低粘性のアセノスフェアが存在する場合にスーパースウェルとジオイド異常の両方の正負の振幅パターンが説明できることを突き止めた。
Yoshida, M. and Santosh, M. (2014) Geosci. Front.
大陸リソスフェアの離合集散が実現可能な三次元全球殻内のマントル対流の数値シミュレーションを行った。仮想的な形をもつ超大陸を構成する大陸片を取り囲む変動帯(低粘性帯)の粘性率、及び、大陸片同士の「リフト帯」の粘性率をさまざまに変化させた系統的なシミュレーションの結果から、実際の地球史における大陸の離合集散は外向パターン(古い海洋底が閉じるパターン)と内向パターン(新しい海洋底が閉じるパターン)の組み合わせで実現されることを示唆した。
Yoshida, M. (2013) Geophys. Res. Lett.
海洋地殻層とハルツバーガイト層(H層)を考慮したプレート沈み込みの数値シミュレーションを行った。その結果、遷移層底部付近の停滞スラブは、H層の粘性率の大きさに関わらず、上部・下部マントル境界の粘性率比が100倍程度の場合に形成されることが分かった。また、その粘性率比が100倍程度の場合、スラブがその「踵」から下部マントルに沈み込み始める過程において、地殻層もH層と一体となって屈曲しながら下部マントルに沈み込む様子が確認された。
Yoshida, M. and Tajima, F. (2013) Phys. Earth Planet. Int.
三次元部分球殻領域でのプレート沈み込みの数値シミュレーションを実施した。その結果、マントル遷移層が水に富んだ条件では、高圧実験により示唆される海洋地殻層の粘性低下の効果により、プレートが遷移層底部で水平方向に停滞する時間が長くなり、また、地殻層もプレート本体から分離して一時的に遷移層に滞留することが分かった。特に遷移層直下のマントルに低粘性層が存在する場合には、プレート本体の屈曲により地殻層は遷移層底部で褶曲構造を示すことも分かった。
Yoshida, M. (2013) J. Vis.
三次元球殻内の二種類の定常マントル対流における流れ場のトーラス構造(マントル対流の基本構造)を初めて可視化し、さらに、全球地震波トモグラフィーモデルから推定した密度異常分布に基づいてシミュレートされた三次元球殻マントル内の速度場を可視化するための新しい技法を提案した。本論文は、独創的可視化技術の開発や可視化しにくい対象や現象をとらえた論文の著者に授与される「可視化情報学会平成25年度学会賞(映像賞)」を受賞した。
Yoshida, M. (2013) Geophys. Res. Lett.
独自に開発した数値計算手法を用いることにより、自在に変形する大陸リソスフェアの移動を考慮した三次元全球殻マントル対流モデルを構築した。その結果、超大陸サイクルの鍵となる現象が確認され、移動する大陸下の深部マントルの平均温度異常はたかだか±10℃で、マントルの平均温度よりもやや低温である時代が多いこと、また、再び集合した超大陸直下の熱遮蔽効果によるマントルの高温領域でも、たかだか+50℃以内であることなどが分かった。
Adam, C. et al. (2013) Earth Planet. Sci. Lett.
大西洋の三重会合点にあるアゾレス海台の起源とその下のマントルダイナミクスを調べるために、高解像度地震波トモグラフィーモデルを基にマントルの定常速度場を部分球殻領域で解析した。その結果、アゾレス海台やテルセイラリフト周辺のダイナミックトポグラフィーのパターンや正断層型が卓越するプレート内応力場のパターンは、その直下のマントルの温度異常で説明可能で、これは現在のマントルダイナミクスを反映していることを示唆した。
Yoshida, M. (2012) Phys. Earth Planet. Int.
マントルの上昇プルームが運ぶ質量フラックス、及び熱流量を見積もるため、三次元全球殻マントル対流モデルを用いて、現在のマントルの定常速度場計算を行った。その結果、南太平洋火山群の各ホットスポットプルームが運ぶ質量フラックスは、660 km相境界直下において、たかだか1 Mg s^{-1}のオーダーで、この値は観測される海底のホットスポット・スウェルから理論的に見積もられる質量フラックスと同じオーダーであることが分かった。
Yoshida, M. et al. (2012) J. Geophys. Res.
海洋地殻層を考慮した三次元部分球殻領域でのプレート沈み込みの数値シミュレーションを行った。このモデルでは、マントル遷移層が水に枯渇した条件では含水による地殻(ガーネット)の粘性率の低下を考慮した。その結果、遷移層に沈み込むスラブが遷移層底部付近で横たわるとき、地殻の粘性率が低下する効果により、遷移層が水に枯渇した条件よりも、沈み込むプレートが水平方向に横たわりやすく、遷移層に滞留する時間も比較的長くなることが分かった。
Yoshida, M. (2012) Tectonophys.
マントルと化学組成が異なり、高い粘性率を持つ大陸リソスフェアを考慮した三次元部分球殻内のマントル対流の数値シミュレーションを行った。その結果、大陸リソスフェア縁辺での変動帯(低粘性帯)の存在が、地質学的時間スケール(10億年以上)にわたる大陸リソスフェアの安定性に重要な役割を果たし、大陸リソスフェアがもつ高粘性(マントルとの粘性率比は10^3)の性質はその安定性に対して二次的な役割を果たすことが分かった。
Yoshida, M. and Santosh, M. (2011) Terra Nova
変形と移動が可能な大陸が考慮されたマントル対流の数値シミュレーションによって、未来の大陸配置の分布と超大陸の形状の予測を試みた。その結果、未来の大陸配置はマントルの密度異常モデルの違いには大きく依存せず、シミュレーションの開始時に地表面の速度境界条件として与えた現在のプレート運動のパターンに依存することを示した。また、南極大陸と南米大陸を除く大陸は数億年後に北半球に集まり、北半球に新しい超大陸が形成される可能性を示した。
Yoshida, M. and Santosh, M. (2011) Earth-Sci. Rev.
超大陸サイクルとマントル対流との熱的・力学的相互作用に関して議論した。地質学的視点から示唆されることは、マントル遷移層やコア・マントル境界に沈み込んだ地殻物質に含まれる放射性元素による発熱が、大規模上昇流の成因、及びその後の大陸分裂に重要な役割を果たす可能性があるということである。地球物理学的視点から示唆されることは、地球史を通じて大陸移動とマントル対流の間には、重大な熱的・力学的フィードバックがあるということである。
Morishige, M. et al. (2010) Phys. Earth Planet. Int.
東北日本弧で沈み込む太平洋プレートの下、海洋側の深さ410 km相境界付近に存在する地震波低速度異常(高温異常領域)の起源を調べるために、二次元矩形内、及び、二次元球殻内のマントル対流の数値シミュレーションを行った。その結果、この高温異常領域は、下部マントル内で放射性熱源や粘性散逸によって加熱されたマントルが断続的にマントル遷移層に上昇し、410 km相境界付近まで運ばれたものであることを示唆した。
Yoshida, M. (2010) Earth Planet. Sci Lett.
自由に変形・移動する大陸リソスフェアを考慮した三次元部分球殻内のマントル対流の数値シミュレーションモデルを世界に先駆けて開発した。実際の地球のレイリー数を持つマントルと化学組成が異なる大陸構成物質の移流は追跡粒子法を用いて解いた。シミュレーションの結果、超大陸の周囲が変動帯(低粘性帯)に囲まれている場合に、ウィルソンサイクルの鍵となる現象(熱遮蔽効果による大陸分裂や数億年後の大陸同士の衝突など)が実現された。
Adam, C. et al. (2010) Geophys. Res. Lett.
ホットスポットが集中する南太平洋下のマントルダイナミクスの解明を試みた。その結果、南太平洋下のマントル上昇流の複雑な振る舞いや、特徴的なテクトニクス(ホットスポット・スウェルなど)を説明することができた。また、各ホットスポットに対応する上昇プルームが運ぶ熱流量を理論的に推定したところ、従来の観測結果と非常に良い相関関係が得られた。これらの結果は地球表層の観測量とその下のマントルの運動の直接的な関係を示唆するものである。
Yoshida, M. (2010) Geophys. J. Int.
実際の地球マントルのレイリー数を考慮した三次元球殻内のマントル対流の数値シミュレーションを行い、超大陸の形成に起因する上昇プルームの発生が超大陸の応力場に及ぼす影響を調べた。その結果、超大陸の縁辺でのプレートの沈み込みに伴って5000万年から1億年の時間スケールでCMBから上昇プルームが発生し、その上昇プルームは超大陸を分裂させるのに十分な大きさ(10 MPaのオーダー)を持つ伸張応力場を生み出すことが分かった。
Yoshida, M. and Nakakuki, T. (2009) Phys. Earth Planet. Int.
リソスフェアとマントルの水平粘性率変化(LVV、低粘性のプレート境界や高粘性の沈み込むスラブ)が長波長ジオイド異常に及ぼす影響を調べるため、三次元球殻内で定常流れ場の計算を行った。その結果、上部マントルに高粘性のスラブを持つ場合、沈み込み帯で観察される正のジオイド異常は、上部・下部マントルの粘性率比が10^3程度で、かつプレート内部のLVVを考慮したときに再現され、下部マントルのLVVの程度はジオイドパターンに大きな影響を及ぼすことなどが分かった。
Yoshida, M. (2008) Geophys. Res. Lett.
ブジネスク近似と拡張ブジネスク近似(EBA)の下で、粘性率が温度に強く依存する場合のマントル対流の数値シミュレーションを行った。その結果、ブジネスク近似下とは異なりEBA下では、次数1や2が卓越するマントル対流パターンが発生しないが、リソスフェアとマントルの粘性率比が十分にある場合で粘塑性レオロジー(降伏応力)を導入すると、環太平洋沈み込み帯に似た全球スケールのプレート収束境界が発生し、次数2パターンが実現されることなどを明らかにした。
Yoshida, M. (2008) Geochem. Geophys. Geosyst.
有限体積法に基づいて改良されたマントル対流の数値計算モデルを用いて、コア・マントル境界のトポグラフィーを推定した。計算の結果、近年地震学的観測で解明されつつある±約1.5 km程度の地形の凸凹を説明するためには、(1)マントル最下部のD"層での低粘性帯、(2)下部マントルに沈み込むスラブの結晶の細粒化に伴う粘性率の減少、(3)マントル深部の化学組成変化(南太平洋下とアフリカ下に存在する高密度のパイル)をモデルに考慮する必要があることが分かった。
Yoshida, M. and Kageyama, A. (2006) J. Geophys. Res.
粘性率が温度に強く依存する場合のマントル対流の数値シミュレーションを行った。粘性率の温度依存性の程度について系統的なパラメータ・スタディを行った結果、粘性率が温度に中程度に依存するマントル対流において、次数1対流と次数2対流が現れることを発見し、次数1や2が卓越するマントル対流パターンが地球型惑星のマントル対流(現在の火星や金星、あるいはプレートテクトニクスがない場合の地球)の基本構造であることを明らかにした。
Yoshida, M. and Ogawa, M. (2005) Earth Planet. Sci. Lett.
プレート運動を自発的に発生させるレオロジーを考慮した二次元矩形内のマントル対流モデルを用いて、上昇プルームがCMBから地表面まで運ぶ熱流量を推定した。その結果、プルームによって運ばれる熱流量は、地表面から放出される総熱流量のたかだか30%以下であることを示した。このことは、観測されるプルームスウェルの規模のみから推定出来ない熱流量の存在と、マントル下部に放射性熱源に富む組成的に不均質な物質の存在を示唆する。
Kageyama, A. and Yoshida, M. (2005) J. Phys.
インヤン格子に基づく地球ダイナモシミュレーションコードを開発し、地球シミュレータで4096 CPUを用いて15.2テラフロップスの実効性能値を達成した。これは理論最高性能値の46%に相当する。また、インヤン格子に基づくマントル対流シミュレーションコードにより、レイリー数が実際の地球マントルに相当する10^7で、かつ、粘性率の温度依存性による対流層上下面の粘性率比が10^6のマントル対流を解くことに成功した。
Kageyama, A. et al. (2004) Proc. ACM/IEEE Supercomput. Conf.
インヤン格子と名付けた新しい格子系の上で、磁気流体力学方程式を高速かつ高効率で解く新たなシミュレーションコードを作成し、地球シミュレータの特性を生かすよう最適化した。その結果、開発されたコードによって、双極子磁場の生成やその逆転という地球磁場の特性を再現する地磁気ダイナモのシミュレーション計算を高速かつ高効率に実行できることを実証した。この成果は「2004年ゴードン・ベル賞(最高性能賞)」を受賞した。
Yoshida, M. (2004) Earth Planet. Space
プレート運動を自発的に発生させるレオロジー(温度と圧力、応力の履歴に依存する粘性率)を持つ二次元矩形内のマントル対流の数値シミュレーションを行った。モデルには、深さ410 kmと660 kmの相転移の影響を考慮した。その結果、下部マントル起源のプルーム、プレート運動に励起された大規模流れに関係するプルーム、上部マントルに閉じた小規模対流に関係するプルームの三種類の上昇プルームが識別されることを明らかにした。
Yoshida, M. (2004) Phys. Earth Planet. Int.
リソスフェアとマントルの水平粘性率変化(LVV)が長波長ジオイド異常に及ぼす影響を調べるため、三次元球殻内の瞬間流れ場の計算と二次元矩形内のマントル対流の数値シミュレーションを行った。前者で入力した密度異常モデルは地震波トモグラフィーモデルに基づき、マントル内のLVVは地震波速度と温度との関係に基づいて決定した。両方のモデルの結果を合わせて、観測される長波長ジオイドはプレートテクトニクスに起因する地球表層のLVVに強く依存することを示した。
Yoshida, M. and Kageyama, A. (2004) Geophys. Res. Lett.
球座標系に沿った緯度経度格子での極の問題(極での座標特異点と、緯度方向の格子間隔の著しい不均一性)を克服した独自の計算格子(インヤン格子)を用いて、有限差分法による実用的な三次元球殻内マントル対流数値シミュレーションプログラムの開発に世界で初めて成功し、ベンチマークテストを行った。このインヤン格子は、緯度経度格子の低緯度領域を二つ組み合わせることにより、極での座標特異点を解消し、全球面にわたって格子間隔がほぼ均一になる利点がある。
Yoshida, M. and Ogawa, M. (2004) Geophys. Res. Lett.
プレート運動を自発的に発生させるレオロジー(温度と圧力、応力の履歴に依存する粘性率)を考慮した三次元矩形内のマントル対流の数値シミュレーションを行い、上昇プルームが高粘性のリソスフェアに及ぼす影響を調べた。その結果、適切な破壊強度(降伏応力)の下では、上昇プルームがリソスフェアを局所的に破壊し、やがて実際の地球の「プレート境界」に似た線状の低粘性領域とその低粘性領域に分けられた水平スケールの大きい「プレート」が形成されることを確認した。
Seno, T. and Yoshida, M. (2004) Phys. Earth Planet. Int.
今世紀以降に、エルサルバドル、ワシントン州、安芸灘において相次いで発生したスラブ浅部(深さ<60km)での大地震を解明するため、ハーバード大学CMTカタログや個々の文献から過去に世界中で発生した全ての地震(M≧7.0)のメカニズムを調べた。その結果、これらが発生している地域では、2、3の例外はあるものの、スラブ内部の応力場は伸張応力を示すが、その周辺の背弧も伸張となっているという共通したテクトニックな特徴を発見した。
Yoshida, M. et al. (2001) Earth Planet. Space
地震活動に基づく上部マントルのスラブモデルや、過去1〜2億年の沈み込みスラブの歴史を考慮したモデルを用いて、現在のマントル内部の定常速度場を計算し、地球上の代表的なプレートの運動方向や絶対速度の再現を試みた。その結果、高粘性のプレート内部と低粘性のプレート境界との粘性率比を増加させるにつれ、プレート運動のトロイダルエネルギーが増加し、その比が10^3になるとポロイダルエネルギーと同程度になることなどが分かった。
Honda, S. et al. (2000) Earth Planet. Sci. Lett.
二次元・三次元の矩形モデル、及び、三次元球殻モデルのさまざまなジオメトリにおいて、高粘性の超大陸を考慮したマントル対流の数値シミュレーションを行った。内部発熱量を変化させた系統的な計算結果を基に、境界層理論を用いて実際のマントルのレイリー数(10^7)で見積もると、マントル対流の温度構造と流れのパターンの再編による超大陸下の上昇プルームは、少なくとも2〜4億年程度の時間スケールで発生することなどを明らかにした。
Yoshida, M. et al. (1999) Geophys. Res. Lett.
高粘性の超大陸を考慮したマントル対流の数値シミュレーションを世界で初めて三次元球殻モデルで行った。その結果、超大陸がマントルの「蓋」の役割をする熱遮蔽効果(毛布効果)によって、超大陸下のマントルの温度が上昇し、大陸下から海洋リソスフェア下に向かう流れとその反流によってCMBから大規模なマントル上昇流が数億年の時間スケールで発生することが分かった。この超大陸下の上昇流の発生により次数1のマントル対流パターンが生まれた。

主な査読なし論文の概要(200字程度)

吉田 晶樹 (2015) 科学
プレートテクトニクス理論は、地球上に存在する大陸プレートや海洋プレートの内部や側面にさまざまな力がかかっていることで説明できる。1970 年代以降、地表からマントルの中へ沈み込むプレート(スラブ)が、プレート運動の主要な原動力とされてきた。一方、プレートの下面を引きずるマントル(アセノスフェア)の流れがプレート運動の原動力になっているのか抵抗力になっているのかはいまだよく理解されておらず、現在も研究が進んでいる。
本多 了ほか (2000) 月刊地球
地球史を通じて、大陸は集合・離散を幾度か繰り返した。大陸が集合すると、その下では沈み込みが止まるために、まわりのマントルに比較して温度が上昇する。この温度上昇のために巨大な大陸下では上昇プルームが発生する可能性がある。三次元球殻内対流の数値シミュレーションで、このプルーム発生の時間スケールを推定すると数億年となった。